凍えそうな夜は誰かと一緒にいたい

手を伸ばしても届くことのない暖かみ



ずっと欲しいと思っていたものは手に入れられなかった



落ち着ける場所
瞼を落とし夢を見ることは殆ど無かった
少しの物音でもすぐに目が冴える


そんな生活を始めて長い俺に平穏だとかぬくもりなんてモノは皆無だったから

常に心は研ぎ澄まされ、荒れて鋭いことになっていたんだろう
休む間も与えずに俺の中の獣は呻き声をあげた


もっと残虐に
もっと衝動的に

止まらない暴走に伴う己の自制心の崩壊を俺ははっきりと感じ取っていたんだ。


喉が渇く
血が疼く
己さえ保つことが困難で


苦しんでいるのを快楽であるときつく思うことだ
そう思い込んでいた





あれは満月の光が明るく広がる夜だった




















■■■紅硝子玉〜ベニガラスダマ〜■■■























「いやっ!!!!や・・・止めて・・・」






「止めて下さ・・・・」







前を通っただけのこと
暗い夜道にたった一人で女が歩いているのが悪い

人通りの殆ど無い小さな小道にシャラシャラと音を立てながら近付いてくる気配
小刻みな歩幅を匂わせる足音にカラカラとなる下駄の音

馬鹿な女だ


そう口先を上げ、木の陰に佇む男、高杉晋助は口端を上げた

横の林に向って高杉は思いきり女の腕を引っ張りこんだ
その弾みで女が持っていたらしい巾着が地面に落ちる

ガシャん!!
という音と共にバラバラと広がったのは透明なビー玉

月明かりだけでは色の判別がつかないそれは、この女を映す光のような輝きを放っていた





(何でこんなもん大量に持ち歩いてんだか・・・)

高杉はそのまま女を押し倒し下敷きにすると着物を剥ぎ取った


青白く月明かりに映るその肌に唇を落とし花を付けていく

「ん・・・い・・・嫌・・・離しなさいよ」

「ふっ・・気の強ぇ女・・・。嫌いじゃねぇぜ?そういうの、いつまでもつか・・」


高杉は女の目を見据えそう言うと、首筋にそって舌を這わせていく
女は強い力で押さえつけられ抵抗もできない
瞼をギュッと閉じ顔を背けて必死に耐えているようだった



気高い
涙も流さないとは・・・・



正直もっと騒いでくれても良い位だった高杉だったが


(まぁこれもまたソソられるモンだな・・・)

とそのまま行為を続けていく

ニヤリと一笑して両丘を愛撫する
ワザと優しく撫で上げぐっと持ち上げてやると女は息を殺すようにして抵抗の手を出してくる
高杉の胸を押し返そうとするもまったく適わない

「んぅ・・・あ・・・いやぁ・・」

片方の手で突起を指で弄びながら、もう一方では下のほうへと指を這わせる
次第に硬さを増すソレに高杉は気を良くし、陵辱的な言葉を浴びせた


「強姦だってのに感じてんのか??くく・・・下はもっとスゲェ事になってるぜ?」

「いや・・・あ・・ん・・・あぁ・・」
女は手から逃れようと体を捻るも、高杉の手は止まらない
下着の隙間から指を忍ばせ上下へと擦り付けてやる

女の下着は既に濡れてしまっている
「あぁ・・ん・・・んぅ・・・・いやぁぁ」

「嫌・・・じゃねぇだろ??もっと鳴けよ」


より官能的な声を出し始めたのを見計らい高杉は一気に指を秘所におし進めた
ぐちゅぐちゅと卑猥な音をワザと立てて耳元で囁く



「淫乱・・・・」



くく・・・と笑うと女はぐっと眉間を寄せて睨みつけてくる

ぞくぞく・・・



荒く乱れた息
止められる様子もない喘ぎ声


それでも涙を流すことはない

顔を背けても尚与えられる快楽に抗う術を知らない女


素早い指の抜き差しの繰り返しに女はとうとう限界に達した
ぐぐっと指を締め付け体を反らせる女に高杉は舌打ちを一つする


「おい、てめぇ。一人でイってんじゃねぇよ・・・・」

間髪いれずに高杉は自身を突き当て一気に女の体を貫いた



「あぁん・・・いや・・・駄目ぇ・・・」
「はっ・・・良く締め付けてんじゃねぇか・・・」


「いや・・・」
「イイって言えよ」


そのまま突き上げ、腰を本能のままに打ち付ける



女はゆっくりと顔を向けた
ずっと背けられていたため合わせる事の無かった瞳に満月が映りこむ

まっすぐで綺麗な瞳

臆するでもなく貫くような視線とぶち当たる


ビー玉なんかよりもずっと光って曇りの無いその眼

また
ゾクリと高杉の背筋が走る











その時
女は高杉の首へと腕を伸ばした


力なくも必死に縋るように伸ばされた手
自分は伸ばしても伸ばしても届かなかった
何も得ることの無かったその手



空を斬るだけの空虚な腕・・・







女の頬をそっと撫でてやると少し目を細めてほっとしたような顔をした

はっきりと今ならわかる体温
触れた先の温もりに絆され様としているのは自分だ



しっかりと掴まれた女の腕に高杉は手を当てる

確かにある腕の感覚



「お前・・・イイ女だな・・・」







(本気で・・・手に入れたくなった・・・・)












「きゃぁっ・・・ああっつ・・。んぅぅ・・・ああ・・」

嬌声を上げるも関係ないと言ったように再び激しく体を動かし始める

激しい律動と交わるほど近いお互いの呼吸
強く強く抱きしめられ、求められる体

安堵すら生じる不思議な感覚を高杉は感じ取っていた



快楽に溺れる女に
狂喜に踊る黒き獣












「あぁっっ、もう・・・もう駄目っ・・・!!」
「く・・・俺も出すぜ・・・?」

こくりと頷いたその仕草を確認し、加えられた首の引き寄せに
体は正直に反応を示す

思い切り引き寄せた体は一気に二人を絶頂へと送る
ぐっと締める女の中に高杉は全ての欲望を吐き出していた





同時にきつく抱き合った体
結局女が涙を流すことは無かった
























ばらばらに散らばったビー玉を乱れた着物を直しながら拾う女

「お前・・・名前は?」
「・・・・・・


「へぇ・・・」


全て拾ったかと女、はあたりを見回した
そこに手を伸ばした高杉の掌の上には二粒の硝子玉

「これ、貰ってってもいいか?」
「いいよ、別に・・・・それよりあなたの名前は??」






高杉は「明日屯所でも行きゃ解るぜ」というと、身を翻し”じゃぁな”と言った。

しかしそのまま歩き去っていく高杉には思い切り声を張り上げる。





「ねぇ!!!!」
足を止め顔だけ振り返る高杉。
「なんだ?・・・ソレだけしっかり声出るじゃねぇか」
「・・・それは」
「助けでも何でも呼べたじゃねぇか?俺ぁてっきり声が出せないのかと思ってたがなぁ?」

ワザとからかう様に口端を上げて笑ってやるとは頬を赤らめていた。
ちょっと目線をはずしたかと思うとすぐにそのままキッと睨みつけてきた。







「次は・・・次はいつ会える??」






驚いた



「おまえなぁ・・・・」




(普通強姦されて次を考える奴がいるか?でもまぁ・・・・)





こんな女には出会ったことが無かったからな

ホントおもしれぇ・・・






「満月の夜に」





そうとだけ言って高杉は闇に消えていった





着物の裾からカシャンと硝子玉のぶつかる音

拝借しておくことにしよう
次に又会ったときには必ず渡そうと高杉は手にとって見る





街灯でようやく解ったその色は


赤と蒼の


綺麗な硝子玉







掌で転がせば少し



暖かい気がした。























END

2005/11/6





















††‡††††††††††††††††††††††††††††††††††††††††‡†††††††††††††††††††††††††††††††††††††††††††††††
後書き



初めて書いた銀魂夢で
初めて書いた裏夢でございました。


アッハッハッハッハッハ

言い訳すると痛いので笑っとけ
アッハッハッハッハッハ


読んで下さってありがとうございました。





















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