風邪オムニバス



〜土方十四郎の場合〜


















朝起きると頭が重い。




あれ・・・・
二日酔いか??コレ。


おかしい。


昨日は酔うほど飲んじゃいないのに・・・・・・。


立ち上がり重い体に隊服の袖に腕を通す。
壁に掛けてあった当番表には


「市中回り」

の文字。



ついてない。


よりによって外に出る日だとは。





「あ〜・・・やだなぁ、土方さんあたり代わってくれないかなぁ・・・
 あ。相方が総悟だ。・・・ダメ、無理。絶対代わってくれないよぉ・・・・」


廊下に出てふらふらと歩く。



何だ、今日は廊下が曲がって見える。


まだ酔ってんのか?自分。


そうだ・・・・・・
きっと記憶がぶっ飛ぶ位飲んだんだろ自分。


あー
酒には飲まれないって決めてたつもりだったのに・・・




頭を抱えつつ歩いていると前方から山崎が歩いて来るのが見えた。

「あ、さん。おはようございます」

「ねぇザキ・・・昨日さぁ、私何かしでかしてない??」

「へ?イヤ・・・何もないと思いますけど…それより、どうかしたんですか?」



山崎がそう尋ねるのも無理はない。
は壁側に寄りかかった形で体にまるで力が入っていない。


「あー・・・・二日酔いしちゃったみたいで・・・」

「え?珍しいですね、さんお酒強いのに。
 それに昨日はあまり飲んでいなかったと思うんですが・・・・」

「そうなのよねー・・・・自分もそう思ったんだけどさぁ〜
 きっと前にくすねといた酒でも空けちゃったのかもしれない・・・・」

「へぇ。何時くすねたんだ?」

「やだなぁ、この前の新年会の時に・・・・・て・・・はぁっ??!」



が振り返るとそこには土方が立っていて、鬼の形相でこちらを窺っていた。


ヤバイ。

酒くすねたのがバレた・・・・


「テメェ!!隊士たる者が盗みとはいい度胸じゃねぇか!!あぁ!?こっち来い!!」

「えぇ!?でも、土方さん!私これから市中回りでしてぇ〜・・・」

「オイ!山崎!テメーが代わりに行っとけ!!!!」

「えぇぇ?!?でも俺観察なんですケド・・・・」

「うるせぇ。切腹するか?」

「ひぃっ!!!」


山崎は右手を額の横に上げて敬礼すると
すぐさま逃げるかの様に去って行ってしまった。

「くそう・・・!ザキの薄情者ぉぉぉ・・・」




「オイ!行くぞ、テメェにはきっちり言っとかねぇとな!」

「・・・・逃げませんよぉ。だから手ェ離して下さい。」



聞く耳も持たずに土方はの手首を鷲掴み、ずんずんと歩いている。
それからまもなく


辿り着いたのはの自室だった。



さっき出たばかりの自分の部屋に戻されるとは・・・・
何とも不毛だ。

だるい中歩いたというのに・・・




すると土方はいきなり押入れから布団一式を引き出すと徐に敷き出す。


「は!?何やってんの?土方さん!!」

「あぁ?テメェには説教だって言ってんだよ!!!!」

「はぁぁ!?ヤダ!!!変態ですか!?セクハラじゃすみません!こんな説教!!」


「いいからさっさと隊服脱げよ」

「イヤです!!!絶対イヤ!!!だぁぁれかぁぁぁっぁ!!!!」

「あ゛ー!!!!うるせぇぇぇぇ!!!もういい!そのままで寝ろ!!!」


ぐいと引っ張られ、そのまま布団の上へと放り投げられた。

そして無理矢理上から・・・・・・



あれ?



掛け布団がかけられる。


「あれ?ここらで土方さんが私の上に・・・・」

「んなワケあるかぁぁ!!!テメェ自分の体調位きっちり管理しとけ!」

「へ?隊長??沖田隊長??」

「馬鹿かお前・・・・熱出てるだろうが!!!」

「えぇぇ〜」



もそもそと布団から腕を出して自分の額に手を当ててみた。

「あ。熱っぽいですね。」

「ぽいじゃねぇよ。足元もおぼつかねぇ奴が。」

「あぁ、ソレで」

「・・・・・・・・・はぁ・・・・気付けよ」

「・・・・あぁ・・・ハイ。・・・スミマセン」


何でこの男はこんな時にまで鼻が利くのだろう。
自分でさえ解らなかったのに。




・・・・・・・・」

「あ・・・ハイ」

「心配させるんじゃねぇよ」



何でこんなに優しくするんだろう。


何だか、らしくなくて笑っちゃう。



「ありがとうございます。
 ねぇ土方さん。お願いがあるんですけど・・・・・
 こう・・・どうも、具合が悪いと解ると体が動かなくなるもので・・・・」

「何だ・・・言ってみろ」

「アイス買って来てください。あ、あとプリン!
 プリンが食べたいです!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・」


「早くぅ〜買って来てください。それ以外は、何も食べたくないです」

「(くそっこういう時だけ声色変えやがって!!!)
 ・・・・しょうがねぇ。今日だけだからな・・・・」

「やったぁ!!!!土方さん大好きぃ!!!」

「馬鹿・・・・静かに寝てろ!!!」


ぱたりと閉まる戸を見やりつつ
は笑った。


土方さん、耳まで真っ赤だったなぁ。


あの副長がこんなにも優しいなら風邪も悪くない。

お酒くすねた事もお咎め無しだったし?
我侭も聞いてくれちゃうし??



あー。
都合が悪くなると風邪ってひけないものかしら?





まぁ

でも
そんな副長をからかってばかりじゃ悪いから



さっさと仕事復帰しましょう?











エンドォォォ









風邪風邪風邪風邪風邪風邪愛風邪風邪風邪風邪愛風邪風邪風邪風邪愛風邪風邪風邪風邪愛風邪風邪風邪風邪愛風邪風邪風邪風邪愛


反省!!!


はい!
またもや土方からかい夢でした。
そして
多分風邪が治ったらもっとからかうとおもいます。


このヒロインは土方が本当にすきなのか?
と思うところがありますが

結構思いは強いと思います。
布団とか出された時は
「順番がぁぁ」とか考えちゃう娘だといいなと
想いながら書きました。

裏に行くネタと思いつつ
まったく!!!みたいな肩透かしでした〜〜

本当はもっと土方さんを振り回したかったです


名前変換少な目ですいません。
テメェとかばっかりね・・・・(目をそらす)

お付き合いありがとうございました!


2006/02/12