ああ!!!神様



私は何か悪いことをしましたか?
そんなに私は罪深いですか!!!!?




嘘!!





絶対悪いのはあいつなんだから!!!!





あのサディスティック星の王子だっつーの!!!!!























「解ってたまるかその愛情」


























〜!!!!!!」


「!!!!!」



「何処ですかい!?〜!!!!」








朝もまだ早いというのに真撰組屯所は慌しい。
ドタバタと走る足音に次いで大きく騒がれる一人の女隊士の名。

「はぁはぁ・・・人の名前を騒ぎまわりやがって!!絶対に見つかるもんか!!」


呼ばれた主であるは必死に逃げ回っていた。
その足音がより静かな朝を崩壊させている。
しかしは止まることができない。


なぜならあの男

沖田総悟が自分を探しまわっているから。
何故探し回るか???




そんなの決まってるじゃない。







!!!!!見つけやしたぜ!?」


「げっ!!!!」




の後方すぐには沖田が迫っていた。
の驚く顔とは裏腹に沖田はにやりと笑って刀を引き抜いた。





「ちょっとぉぉぉ!!!嫌よ!!!追いかけてこないで!!!!」
「さぁ!!今日こそは死んでもらいまさぁ!!!」
「ふっざけんなァァァ!!!!なんで私が総悟に殺されなきゃならないのよ!!」





ふっと振り下ろされる刀の気配には瞬時に刀を引き抜き
そのまま背後へ向き直る。


ガキィィン!



刀のぶつかる金属音。
その音の大きさからコイツ
総悟の本気が伝わってくる。

「総悟アンタ・・・マジで殺す気?」
「あぁ・・・何度も言ってるだろぃ・・・」



ばっと刀を引き剥がし沖田との間合いを取る。
沖田はというとニヤニヤ笑いながら刀をぶら下げた。




「真剣振りかざして何笑ってんのよ!!このドS!!!」
、そいつぁ褒め言葉でさぁ」
「大体私が総悟に何をしたってのよ!見方殺しは大罪です!!」
「自分の胸にきけやぃ!!!」




再び刀を構える沖田に流石にもたじろいだ。






しかし
これほどまでに執拗に
毎日飽きもせず
毎朝毎朝
殺されかければ・・・・・・・


堪忍袋の尾も切れる







「私を狙う前にトシを狙えばいいでしょうがァァァ!!!」
「土方さんはそのうち打てばいいでさぁ!!」



「てめぇら!!何、人を殺す算段付けてんだよ!!!ふざけてんじゃねぇ!!!!」
「「!!!!!!!!?」」





ゴン!!!!



二人同時に頭をグーで殴られた。
真撰組隊士とはいえ女であるというのにその力は無遠慮である。
はううっ・・・・と頭を抱えて座り込んだ。



「だって!!!総悟が!!」
が逃げるのからいけないんですぜ!?」
言い訳をし始めても睨み合う二人に土方も黙ってはいない。

「だぁ!!!うるせー!!!朝っぱらから騒ぐんじゃねぇ!!!」















*********
















「総悟のせいで怒られたんだからね?」
「それは御互い様でさぁ・・・・」



カチャカチャと箸の鳴る食堂で二人は向かい合い朝食を摂っていた。
は不機嫌そうに眉を顰めているというのに沖田はというとただただ嬉しそうにしている。
やっぱサドだ・・・・
は心から思った。

「あー・・・不味い。さっき殺されかけた男の前でご飯食べてるなんて」
は斬られないじゃないですかぃ。何度やっても・・・」
「斬られてたまるかって!!本当に死ぬ!!」


じぃっと見つめてくる沖田にはまたたじろいだ。


なんなの?
何、考えてんの!?


最近の総悟はまったくわからない。











前はこんな事無かった。
総悟とはとても馬が合って・・・


土方さんへの嫌がらせを一緒にやってみたりもして・・・

あんなに仲が良かったのに。



いつからか総悟は私に刀を向けるようになった。
その太刀筋からだって本気なのだと良くわかる。
今の総悟は本気で私を斬ろうとしてるんだから。



一緒に居た分総悟の事がわかる。
トシに斬りかかる時とは違うんだ。
明らかに。

敵意があるんだから。
冗談にならないんだから。








ふと考え事をしてると横の方の席に土方が座るのが見えた。
は沖田の意味深な目にも耐えられなくなり、盆をもって席を立つ。


そのまま土方の真横に腰を下ろす。
「トシ。一緒に食べよ」
「あぁ?まぁいいけどよ。また総悟に睨まれんぞ」


沖田はじっとを見ていた。
少しその目に殺意を感じたのは気のせいだろうか。
そう、
気のせいにしてはべーっと舌を出してやった。



「うえ・・・トシ・・・マヨネーズかけすぎだよ」
「なんだよ、少ねぇ位だ」
「うう・・・・食欲失せる・・・・・・」
「お前は少しくらい失せたほうがいいんじゃねぇか?」
「うるさーぁぁぁい!!!」


くくっと軽く笑う土方には頬を膨らませた。
でも、自然な会話にホッとしていたのだ。







しばらく話し込んだ後ふと横を見たが沖田は既にいなかった。

















今日は総悟と仕事が合わなかったため、そのまま夜になった。
本音、それが本当に助かったと思い、会わない分今朝のことが気になっていた。




市中回りも長引いたのか総悟はなかなか帰ってこなかった。


「別に気にすることなんてないわよ・・・」

ちょっと胸につっかかりを感じつつもは床についた。
















********













さぁーっと静かに音を立てながら開けられた襖。
沖田は夜分遅くに屯所へ戻るとの部屋へとやってきた。

すぅすぅと寝息を立てている



それを見つつ足音を立てないようにして沖田は枕元へやってきた。


「アホ面して寝てまさぁ・・・・・・・・?」


しゃんと音を立てて引き抜かれた菊一文字。
闇夜の中でその刃は一筋の光を放っていた。

沖田はそのままの上半身を跨ぐ形で刃先をの顔に突きつける。

変わらない表情。
乱れぬ吐息にはっきりと寝ていると確信した沖田。



(今なら・・・・・・確実に斬れるだろう)





そのままスッと刀を引き上げ・・・・・
沖田は刃をそのまま下へ貫く



斬!!




ドスリという鈍い音と共に突き刺された枕元の布団は皺が寄っている。
深く貫かれた為刀は布団を越え畳までを切り裂いていた。


はぁはぁと息を切らしつつ沖田は刀を引き抜き鞘に収める。

そのままの枕元に胡坐をかいて座り込んだ。

未だ乱れた息と静かな寝息の響き渡る部屋。
沖田はすっとの頬を撫でた。




・・・・どうしてなんですかねぃ・・・斬れないのを知っていて
 俺は斬りたくてしょうがない・・・


  
 いっその事・・・・・・この手で止めてやろうと思ってるんでさぁ・・・

 も・・・・

 可笑しい自分も・・・・」



途切れ途切れに聞こえる沖田の声がの脳内で響いた。
夢ではなく総悟が横にいるのだとわかったのはその後の言葉からだった。




・・・・愛してまさぁ・・・」



「・・・・・・・!!」


「どうして・・・土方さんの方ばかり行くんですかい??
 その度に俺がどんな想いしてるのか・・・・
 まるでは解ってない・・・・・


 は土方さんと居るほうが・・・楽しそうだ・・・」




総悟は・・・
そんなことを考えていたの?



「どうして殺したいと斬りたいと思うか解りますかぃ?

 が死んだら・・・

 土方さんの隣で笑うを見ないで済む。それを見て嫉妬することもない。
 
 が。。。自分だけのものになるような気がして・・・・

 笑っちまいまさぁ・・・・そんなの・・・ただの幻想だ。」












「総悟・・・違う。違うよ」
・・・?」


が瞳を少し開けて言葉を発すると沖田は少し驚いた顔をした。


「起きて・・・たんですかぃ」
「さっきね・・・」



ゆっくりとは体を起し沖田の前に座った。
そのまま沖田を抱きしめる。



?!」

「初めて見た・・・。こんな弱気な総悟・・・」
「そうですねぃ・・・自分でも可笑しい位でさぁ」


ゆっくりと離れるとはくしゃりと笑った。
幸せそうな、そんな顔に沖田は目を丸くする。

「嬉しい・・・」
「は?何をいってるんですかぃ?」
「総悟に嫌われてるのかと思ってた。」
「・・・・・」

少し目をそらすようにする総悟にふふっとは笑った。

「まさか・・・逆ですぜ」
「ごめんね、総悟・・・総悟の気持ちに気付かなくて・・・」
「・・・・・・」
「だって、総悟の態度からは想像もつかないよ。」

「昔っから、天邪鬼なもんで・・・・」



好きだと思うほど
意地悪がしたくなり
欲しいと思うほど

離れてしまいたくなる。
見えなくなれば欲しいと思っていたことも
忘れられる気がしたから。







「私、総悟のことが好きだよ?」

・・・」

「トシとは・・・そんなんじゃないし、昔も・・・今も・・
 ずっと総悟が好きだったんだから!!
 ほらぁ・・・なんてゆーか。。。御互い様じゃない・・・
 総悟だって私の気持ち、解ってない・・・」


「本当に・・・?本当にそう思ってるんですかぃ?」


未だ少し驚いた顔をして見つめる総悟には赤面しつつコクンと頷いた。
それを見た沖田はぎゅっとを抱きしめる。

の肩に顔を埋める様にしているからその表情はつかめないものの
腕の力がその嬉しさを伝えるようだった。


そのまま総悟は少し身を引きの顎に手をかける。
自然と重なりあった唇に
優しさを感じた。







「・・・・・・って・・え?」

ドサリ!




長いキスが続く中、グイと押されたの体は
気がつくと布団の上で組み敷かれる形となっていた。

「ちょ!ちょっと!!!総悟!!」

「今までは土方さんのことが好きなんだと思って、何か胸がムカムカしてたけど・・・
 これからはそんな心配もなくなったようだし、ガンガン攻めさせてもらいまさぁ!」

「はぁ!!!?何言っちゃってんのォォ!?今までだって十分ドSだったのに!?」

「じゃぁ・・・早速・・・」


首筋に顔を埋め舌でベロリとなめる。
それにゾッとしたは総悟を足で蹴り上げて体をどけた。


「ふさけんじゃないわよ!!展開が早すぎるっての!」



未だ鳩尾あたりを必死に摩る総悟にそう言い放つとは急いで部屋からでた。

「あっ!!!待ちなせぇ!!!!!」



総悟もそれを追って廊下を走る。








朝と同じ足音に騒ぎ立てる声。
辺りの部屋で明かりが転々と点いた事はいうまでもない。





「テメェらァァァァァ!!!!今何時だと思ってんだァァァ!!
 いい加減にしやがれ!!!!!」









また土方に説教をもらう事となる二人だったけれど・・・




土方の部屋で正座させられる二人は。
前を向きつつも目だけあわせて

笑っていた。





















実は



総悟が毎朝を追い掛け回していたのには訳があった。


朝早くから土方に嫌がらせをしつつ


そして


どうしても


土方に





仲が良いのだと


自分のものだと見せ付けたかったのだ。


沖田本人が


それ自体が誤った


愛情表現であることに気がついたのは


あの夜のことだったけれど。




沖田は未だに





殺したいほど愛しいのだと・・・



穏やかな笑顔を見せていた。














殺めたいほどの狂気に狂い
愛し愛されるを求むるは

はたして上策か

想い通ずる今でさえ

想い伺い
恋模様



この愛

一筋縄では行かぬから




栄えて美し
咲き乱れ












END




2005/11/27















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後書きと言う名の反省文





えー。沖田夢。いかがでしたでしょうか?
なんだか嫉妬話を飛躍させていったら


真っ黒になってた!!!!


暗い・・・
てか狂気だよ。


えー。補足
ヒロインは布団を刺されたことを察しています。
枕元の綿がでてりゃぁ解るだろ・・・
って・・・描写が無い(大汗)!

今回狂気で裏にもって行くべきだったのか後記書いてて未だ悩んでます。
本当、生易しい感じですいませんでした!!。

読んで下さった様、ありがとうございました。


yuki kiryou



















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